ドイツのバルト海で建設中の「Arcadis Ost 1」でHeeremaが所有する「Thialf」が革新的な風車タービン設置方法のRotor Nacelle Assembly (RNA)によって風車タービンの設置に成功。
Rotor Nacelle Assembly (RNA) method
2022年11月24日、ドイツのバルト海で建設中の「Arcadis Ost 1」で27基のVestas V174-9.5MWタービンのうち最初の1基目がRotor Nacelle Assembly (RNA)と呼ばれる独自の浮体式設置方法を使用して設置がおこなわれた。
設置を行ったのは、オランダのHeerema Marine Contractorsが所有する14,200トン吊りの半潜水式クレーン船「Thialf」。
この度の施工を行うにあたり、バルト海への入り口であるグレートベルト・リンクを通過するためにAフレームを格納する改造を行っている。
施工方法
SEP船以外のクレーン船で着床式の洋上風車組立を行う場合、最もリスクが高い作業としてブレードの設置が挙げられる。理由として接続面が垂直なので取付を行う間、吊り上げたブレードの高さを保持する必要があるから。SEP船だと風による左右の揺れはありますが、上下に動揺することは無い。
このリスクが高い作業を改善する方法としてRotor Nacelle Assembly (RNA)が考えられたようです。
RNAによる風車タービン設置方法。まず地組されたタワー部材の設置は通常と同じ方法でおこなう。その間に「Thialf」のもう1台のクレーンを使用してナセル・ハブ・ブレードを大組する組立作業を行う。組立を行うのはサポートタワーと呼ばれる地組専用のタワーで、ブレードの組立を補助する設備が備えられていて、迅速かつ安全にブレードの組立ができる。
ナセル・ハブ・ブレードを一体化した状態で吊り上げ、タワー上部の接続面とナセルの接続を行う。この状態だと接続面は水平になり、既存の組立方法に比べて格段に安全性が向上する。さらに「Thialf」のようなクレーンが2基搭載されているクレーン船の場合、タワーの設置を行っている間にナセル・ハブ・ブレードを一体化させる作業が並行して進められるので施工速度も上がる。
「Slip Joint」という接続方法
今回の施工では採用されていないようですが、以前「Sleipnir」で行われた洋上風車の設置テストではRotor Nacelle Assembly (RNA)に加えて「Slip Joint」と呼ばれる画期的な差し込みによる接続方法のテストも行われています。この「Slip Joint」とRotor Nacelle Assembly (RNA)はセットで施工されるものと思っていました。今回の施工では登場しないので少し残念。
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