川崎汽船が仏に新会社、自動カイトシステム「Seawing」を承継
OCEANICWING S.A.S.設立およびAIRSEAS社の事業承継について
https://www.kline.co.jp/ja/news/other/other-20240216.html
2024年2月16日、川崎汽船はフランスにOCEANICWING S.A.S.を設立したことを発表しました。1月18日に新会社を設立し、2月15日付けでフランスのAIRSEAS社が開発を進めている自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」事業を承継。“Seawing”の技術確立および製品化に向けた取り組みの更なる強化と加速を目指すという。
船舶の推進補助として風力を利用する試みは他にも多くありますが、化石燃料由来の動力ではなく自然に存在する風を推進力に活用することは地球環境に優しい取り組みであると言える。しかし、一定ではない自然の風を推進補助として利用する効果は不安定。なかでも「Seawing」の安定感の無さは危険なレベルのように思いますが、果たして継続的な効果が期待できる製品化を達成できるのでしょうか。
自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」
自動カイトシステム「Seawing」は取り付ける船の船首部に搭載され、ブリッジ(船橋)からの操作で展張し、風力を利用して推進力を補助するというもの。「Seawing」を象徴する推進力を得るための風を掴むカイト(凧)は1,000m2という大きさで、その牽引力は100トンにもなるそうです。
そして、設置スペースが少なく、船首部分への取り付けが容易で多くの既存船舶に取り付けが可能。「Seawing」の展開、操作、保管といった操作はブリッジに設置した操作盤でおこない、作業は自動化されているため乗組員が介入する必要はないという。
「Seawing」を開発したAIRSEASは、燃料消費量と温室効果ガス排出量について平均20%の削減を見込んでいる。
2022年1月からトライアルを実施
自動カイトシステム「Seawing」は、2022年1月からトライアルがおこなわれています。予定では6か月間ということですが、実際の期間は不明。この時のカイトは1,000m2ではなく500m2。トライアルをおこなった船舶は、Ro-Ro船「VILLE DE BORDEAUX」。
Ro-Ro船「VILLE DE BORDEAUX」の船体側面には ”Airbus on board” と書かれていますが、旅客機の胴体セクションや主翼などを各国の組み立て工場から最終組み立て工場まで運搬することを目的に建造された輸送船。以前までは船体に ”Airbus A380 on board” と書かれていましたが、エアバスA380は2021年末の完納をもって生産終了となったため現在は消されています。
「Seawing」を開発したAIRSEASはAIRBUS社から分社し、AIRBUS社は現在も株式11%を保有しているという経緯があり、トライアルにRo-Ro船「VILLE DE BORDEAUX」が選ばれたようです。
Ro-Ro船「VILLE DE BORDEAUX」
船名 | VILLE DE BORDEAUX |
総トン数 | 21,528トン |
長さ | 154m |
幅 | 30m |
船籍 | フランス |
建造年 | 2004年 |
「Seawing」の機材運搬
Ro-Ro船「VILLE DE BORDEAUX」への「Seawing」搭載作業
The installation of Airseas’ Seawing on Louis Dreyfus Armateur’s Ville de Bordeaux – with formal approval from @BV_Marine to begin operations at sea – represents a significant milestone in #shipping’s pathway towards a more #sustainable future.
— Airseas (@Airseas_Tech) December 17, 2021
Watch the installation ⬇ pic.twitter.com/1WDt5allST
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