下関沖で転覆した韓国船籍ケミカルタンカーの引き起こし作業開始

下関沖で転覆した韓国船籍ケミカルタンカーの引き起こし作業開始 国内ニュース
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下関沖で転覆した韓国船籍ケミカルタンカーの引き起こし作業開始

2024年5月23日、山口県下関市の蓋井島南東沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」の船体を引き起こす作業が始まりました。

船体を引き起こす作業をおこなったのは、深田サルベージ建設の3,700トン吊り起重機船「武蔵」。

転覆した船体を引き起こす作業は起重機船の前側フック2つを巻き上げておこなったようですが、その吊り上げ位置は全体的に転覆船の船尾側に偏っていました。想定される重心位置が船尾側だったためなのか、転覆船の甲板上にある配管類を損傷させないためにその位置で吊り上げているのかは分かりませんが、船首側には吊り上げを補助するため㈱サンクラフト(本社:島根県浜田市)が所有する350トン吊りクレーン船「第31新栄丸」を配置。報道されている映像を見る限り「第31新栄丸」の吊り上げワイヤーが張ることは無かったようなので、保険として配置していたのかもしれません。

23日午前9時頃から起重機船「武蔵」による船体を引き起こす作業をおこない、昼前にはおよそ2か月ぶりに船体が海上に姿を現した。今後は船内の海水を排水する作業や水密処理など、数日かけて船体を安定させた後に船を移動。海上保安部は、行方不明となっている乗組員1人の捜索や事故の検証をおこなうという。

フィリピン東の熱帯低気圧が「台風1号」に発達する予報が出ており予報進路は下関沖から離れているものの、週明けからは北寄りの風が強まる可能性があるため、難しいサルベージ作業に加えて台風の進路を気にする必要がありそう。

起重機船「武蔵」

船名Vessel name 武蔵
吊り上げ能力Lifting capacity 3,700トン
長さlength 107.0m
width49.0m
深さdepth 8.0m
建造年Year of construction 1974年
所有会社Owner company深田サルベージ
建設株式会社
「武蔵」の概要
起重機船「武蔵」
出典:YouTube | 深田サルベージ建設株式会社

クレーン船「第31新栄丸」

船名Vessel name 第31新栄丸
吊り上げ能力Lifting capacity 350トン
長さlength 60.0m
width22.0m
深さdepth 4.0m
建造年Year of construction 1974年
所有会社Owner company株式会社
サンクラフト
クレーン船「第31新栄丸」
出典:株式会社サンクラフト

ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」

Korean Registerに登録されているケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」のRegister of Ship
  • Owner(船主):KEOYOUNG SHIPPING CO., LTD.
  • Manager(運航会社):KEOYOUNG SHIPPING CO., LTD.
  • Shipbuilder(建造):SASAKI SHIPBUILDING CO., LTD.(佐々木造船株式会社)
船名KEOYOUNG SUN
総トン数870トン
載貨重量トン1,168トン
長さ68.82m
10.6m
船籍韓国
建造年1996年6月

台風1号が発生する見込み

台風1号の予想進路(2024年5月24日06時発表)に日本国内でサルベージ作業が実施されている船舶を追記
出典:気象庁ホームページ 
(https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#5/17.132/127.713/&elem=root&typhoon=all&contents=typhoon)

5月24日にフィリピンの東で熱帯低気圧が発達し「台風1号」が発生する見込み。週明けには沖縄の南を北東進することが予想されている。起重機船「武蔵」が作業をおこなっている下関沖に直接の影響は無さそうですが、週明けから北寄りの風が強まる可能性が高そう。

下関沖のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」以外にも日本国内には多くの座礁船・沈没船でサルベージ作業が進行中となっており、これからの台風シーズンを考えると非常に悩ましい。

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【関連】ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」転覆事故

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