八戸沖座礁船「クリムゾンポラリス」撤去完了が来年1月末へ延期
2021年8月に青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の撤去完了時期が、2023年12月末から2024年1月下旬に約1ヶ月ほど延期になることが明らかにされました。
報道されている情報によると、2023年8月31日に撤去作業をおこなう日本サルヴェージが漁業者や関係機関を対象に非公開の説明会を実施。その中で撤去完了が延期になることが説明されたという。
撤去作業延期の理由
大型台船が現在従事している現場作業の遅れに伴い、八戸港到着が当初計画の「10月」から遅れることが不可避となっているため。
ウェブ東奥(2023年8月31日掲載)| https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1628494
延期の理由は、引き揚げをおこなう大型台船が現在従事している作業に遅れが生じているため、玉突き事故的にあと作業にあたる八戸沖撤去の工程が遅れるというものでした。
2022年12月に八戸沖の座礁船撤去ではチェーンプラーを使用する方法が公表されており、複数のチェーンプラーを艤装した特殊な台船は、国内に「白虎」の引き揚げをおこなっている「STEEL HUB-9」と「STEEL HUB-10」の2隻しかいない。
「白虎」引き揚げに使用した台船はいつ解放されるのか?
愛媛県今治から青森県八戸までの曳航距離はおよそ1,450km、約782海里。台船なので曳航速力5ノットで計算すると、曳航にかかる所要時間は157時間、約6.5日。台船に積まれている資機材の積み替えが必要なのかは不明ですが、曳航日数と前作業の片付けを含む準備期間を合わせて0.5ヶ月程度必要と考えてみる。
明らかになった工程遅延が1ヶ月、これまでの予定では10月に八戸到着予定だったのでそのままスライドすると11月に到着するはず。そこから0.5ヶ月戻ると10月中旬。えっ、「白虎」引き揚げに使用した台船の開放時期って10月中旬になるの?
仮に0.5ヶ月を1ヶ月見ても、「白虎」引き揚げに使用した台船の開放時期は9月末。今から1カ月間も「白虎」を不安定なまま台船2隻で吊り上げた状態を維持することの方が心配。
実際は、今後おこなわれるであろう「白虎」を半潜水式バージに搭載する作業や非自航船の台船を瀬戸内海から東北へ曳航する作業など不確定要素がたくさんあり、各工程で余裕をみている結果だと思われる。したがって、順調に作業が進捗して気象海象に恵まれれば、工程が前倒しになる可能性は高いのかもしれない。
八戸の現場に工程のシワ寄せが集まってませんか
それにしても結果論ですが、八戸の現場ばかりが貧乏くじを引かされているような印象。
2022年10月下旬、船尾部分の撤去に向かった起重機船「海翔」は荒天により作業できず引き揚げ作業を実施することなく八戸を出港しました。その時は、以前から決まっている作業に向かうため「海翔」の撤収は致し方ないというものでしたが、今回は先に八戸で予定が入っていたにも関わらず、予定していた台船が前作業の遅れで予定通りに来ないという事態に。
この筋が通っていない理不尽な工程のシワ寄せをどのように説明したのだろう。工事責任者の気苦労を推し量ると胸が苦しくなってきそうなので、考えないようにしておこう。
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