新しい浮体式洋上風力支持構造の設計がABSの原則承認取得
2023年10月12日、アメリカ船級協会(ABS,American Bureau of Shipping)は、浮体式洋上風力タービン支持構造について ECO TLP および MOCEAN-Offshore BVに対して基本設計承認(AIP、Approval in Principle)を発行しました。
「ECO TLP」というユニークな浮体式洋上風力タービン支持構造の設計では、スリップフォームにより成形された円柱形のコンクリート製浮体と重力式アンカーを利用し、TLP方式の係留方法と組み合わせることで鋼製の浮体を使用する従来構造よりも設置面積が小さくなるという。
水深250m~2,000mで浮体式洋上風力の設置プロセスを簡素化
「ECO TLP」は、AIPを取得した段階なので今後、基本設計(FEED,Front End Engineering Design)が進められ、設計を通して技術的課題などが検討されるということですが、現時点で想定している設置水深は250m~2,000m。
ABSの掲載記事のなかでECO TLP Inc. の CEO は、「ECO TLP」について”250m~2,000mの浮体式風力発電設備の設置プロセスを簡素化し、入手可能な非独自コンポーネントと世界中の標準的な現地労働者支援を組み込んだ、非常に低コストのソリューションである”と述べている。
浮体式洋上風力の反力に重力式アンカーを使用するという発想は面白い。設置可能なエリアであれば、確かに施工手順も従来工法と比べて簡略化されそうな気がします。ただ、海底面の表層地盤が硬ければ設置時の不陸が問題になりそうですし、逆に自沈するような海底面だと不同沈下するかもしれない。今後、解決する問題は多くありそうですが着眼点は興味深い。
コンクリート製の浮体と重力式アンカーはスリップフォームで製造
円柱形のコンクリート製浮体と反力用の重力式アンカーは、連続的に移動する型枠に生コンクリートを流し込むスリップフォームと呼ばれる工法で製造され、打ち継ぎの無いコンクリート構造物になるという。
どんな構造物をつくるにしてもコンクリートを使用すると現地雇用の促進につながるようです。作業に関係する作業員の雇用だけではなく、生コンクリートの長距離・長時間運搬が出来ないという性質から現地のプラント稼働につながり、現地の骨材消費につながる。
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