いよいよSEP起重機船「BLUE WIND」による初施工が始まったようです。先日、石川県七尾港で出力3MWの風車基礎部材3基分を自船の甲板上に搭載し、いざ設置する海域へ移動、まずは巨大なモノパイル打設を行う。存分に世界最大級の実力を魅せつけて欲しい。
SEP船「BLUE WIND」 ⼊善洋上⾵⼒の洋上風車建設に着手
㈱ウェンティ・ジャパン、JFEエンジニアリング㈱、北陸電力㈱の3社で構成される入善マリンウィンド合同会社が運営主体となり富山県下新川郡入善町の沖合に建設を進めている「⼊善洋上⾵⼒発電所」。その風力発電所のメインとなる洋上風車設置を行うため、清水建設が500億円を投じて建造したSEP起重機船「BLUE WIND」が習熟訓練など施工に向けた準備を行っていた広島県江田島や呉がある瀬戸内海を出港し、3月23日に工事の拠点となる石川県七尾港に入港していた。
最初に施工する風力タービンを支える基礎のモノパイルなど3基分の基礎部材を自船の甲板上に積み込んで、4月3日から設置する海域での作業を開始。
「⼊善洋上⾵⼒発電所」のEPCIと呼ばれる設計・調達から設置までを一括して請け負っている清水建設は、モノパイルなどの基礎部材や風力タービンの製造を中国企業に発注。モノパイルなどの基礎部材は運搬船に積まれて中国の啓東市から。風力タービン部材は中国のタービンメーカー明陽智能(MingYang Smart Energy)が製造し、こちらも運搬船に積まれ中国の天津港を出港して、どちらも工事の拠点港となっている石川県の七尾港に到着し、納品されている。
中国で製造されたモノパイルなどの基礎部材と風力タービンを出荷
モノパイル積み込み、設置の様子
油圧ハンマーを使用したモノパイル打設は夜間にやったようですね。なぜだろう。
入善町役場「お近くにお立ち寄りの際は、是非ご覧ください」
全国初!SEP船による洋上風力発電施設建設工事が開始
4月3日(月曜日)から、入善町横山沖にて、世界最大級のSEP船による洋上風力発電施設の建設工事がはじまりました。民間資本による着床式洋上風力発電施設の建設並びにSEP船による洋上風車の建設工事は、全国初の取り組みとなります。
お近くにお立ち寄りの際は、是非ご覧ください。
https://www.town.nyuzen.toyama.jp/gyosei/machi/5223.html
建設工事の現場に対して「お近くにお立ち寄りの際は、是非ご覧ください。」というのはあまり聞いたことないですが、それだけインパクトがあって見る価値がある工事ということでしょうか。富山県入善町役場の ”入善「まち」のわだい” として掲載されている記事。
確かに富山から離れた場所に住んでいる私自身が”入善町”という地名をこの洋上風力プロジェクトによって初めて知りました。全国的に、いや世界的に注目されている現場なので対外的にアピールするにはとてもいい機会になりそう。世界の風力関係の記事を取扱うサイトでも ”Nyuzen” という言葉が出てくるので世界中の風力関係者が入善町を認知したはず。
⼊善洋上⾵⼒発電所の概要
富山県下新川郡入善町沖の水深10~12mに建設予定の「⼊善洋上⾵⼒発電所」。風車基礎は着床式と呼ばれるタイプでモノパイルを採用。風力タービンは中国のタービンメーカー明陽智能(MingYang Smart Energy)が製造する出力3MWの「MySE 3.0-135」を3基設置。出力制御により最大出力 7.5MWとして運用し、発電した電力は全量「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」を活用して北陸電力株式会社に売電する計画。
世界最大級のSEP起重機船「BLUE WIND」
出典:NOV
スーパーゼネコンの清水建設が巨額を投じて建造した自航式SEP起重機船「BLUE WIND」。搭載しているクレーンは、世界最大クラスの2,500トン吊りという能力に加えて伸び縮みするテレスコピッククレーンという特徴を持ち合わせている。
今回作業を行う入善洋上風力発電所では「BLUE WIND」が搭載している能力に対して重量的には余裕があるプロジェクト。期待しかしていませんが、初めての作業なので効率よく進まない時もあるかもしれません。落ち着いてその持てる能力を存分に発揮して欲しいものです。
世界には「BLUE WIND」よりも巨大なクレーンを搭載したSEP船がいる
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