貨物船「白虎」スクラップに向けた最終作業、曳航予定発表
2021年5月に来島海峡付近で起きた衝突事故により水深60mの海底に沈没した貨物船「白虎」。事故から2年5カ月が経過し、いくつもの段階を踏んでサルベージ作業が進められた結果、自船の浮力で浮いているという状態にまで復元された「白虎」は現在、愛媛県今治市の小部湾で静かに係留されています。
そして、「白虎」引き揚げという途方もないサルベージミッションの最終段階と言えるスクラップ場所への曳航作業日程が発表されました。
曳航長約500m、曳航速力約3ノット
2023年10月27日、来島海峡交通安全センターの航行安全情報として貨物船「白虎」の曳航予定が発表されました。曳航作業期間は11月7日(火)、8日(水)となっており、以降11月末まで予備日とされています。
曳航作業の備考として「白虎」曳航時の曳航長が約500mになり、曳航速力が約3ノットであることが記載されています。「白虎」の全長は約170mなので、タグボートで前後にラインを取った場合でも曳航索と呼ばれるタグボートと「白虎」を繋ぐロープまたはワイヤーの長さが100m以上であることが分かります。
小部湾~江田島、「白虎」曳航に約12時間
現在、貨物船「白虎」が係留している小部湾から広島県の江田島までの曳航距離は約65km、約35海里。航行安全情報の備考に記載されていた曳航速力3ノットで曳航した場合、曳航にかかる所要時間は約12時間。
曳航作業でリスクの高い作業になるのは、「白虎」の係留解除をおこない曳航索をセットして曳航を開始する作業と目的地である江田島のスクラップ予定地に到着して曳航索を離し、「白虎」を所定の位置へ係留するという作業。「白虎」がサルベージ作業によって引き揚げられた船であるという点から曳航時のリスクも高いと言えますが、人的リスクの高い作業はやはり曳航開始と目的地での係留作業。
今の時季、少しずつ日の出から日没までの太陽が出ている明るい時間が短くなっており、約12時間の曳航を含めた「白虎」を移動させる作業を1日でおこなうのは難しい。あくまでも想像ですが、航行安全情報の曳航作業期間が11月7日、8日と2日間に渡っているのはリスクの高い作業を日中におこなうためかもしれない。
超絶難易度の「白虎」サルベージ作業も残りわずか。これまでの工程を振り返ると既に信じられない程の大仕事をやってのけていますが、最後まで抜かりなく作業を進めて頂きたい。
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