「クリムゾンポラリス」の機関室を載せたFDが広島へ向け八戸出港
2024年3月4日、青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の撤去した機関室を積んだフローティングドック(FD)「宏洋12000」が広島県に向けて八戸港を出港、曳航開始しました。
「クリムゾンポラリス」の機関室部分は、昨年末に沖合から八戸港中央防波堤の港内側へ移動を完了し、2024年2月24日にFD「宏洋12000」への搭載作業を完了させていました。FDへの搭載作業中にはFDのデッキ破損が確認され、作業を中断する事態が発生するなど困難な状況が続いていましたが、なんとか出港に至ったようです。搭載作業が完了してから出港までの期間は、荒天などもありましたが長距離の曳航に向けた固縛など準備作業をおこなっていたものと思われる。
しかし、これですべての撤去作業が完了したわけではなく、八戸沖にはまだ「クリムゾンポラリス」の居住区と船倉が残されている。現段階で公になっているすべての撤去完了予定は2024年3月末。
ですが、2024年3月末の撤去完了工程が厳しく、工程がさらに遅れる可能性があるという情報を掲載している報道機関もあります。今月末の話なので、近々関係者に向けた説明会が開かれるのかもしれません。その時に残る居住区と船倉の撤去方法について情報が出てくることを少し期待しています。
八戸港沖貨物船座礁事故 機関室部分を積んだ台船が出港 撤去完了は3月末よりさらに遅れる可能性も
(抜粋)
船主側の代理人によりますと、今後は、海域に残された船尾の居住区部分の撤去を行うとしていますが、天候などによって作業の遅れも生じていることから、3月末としてきたすべての撤去作業を完了する時期については、改めて検討されることになるかもしれないとしています。
https://www.aba-net.com/news/news-103992.html
曳航距離1,800km以上、曳航日数は約1週間
八戸港から広島県 江田島市までの曳航距離は、約1,520km(約820海里)。平均5ノットで曳航したとすると、曳航に必要な時間は164時間。およそ1週間かかることになる。
820海里 ÷ 5ノット = 164時間 = 6日と20時間 ≒ 1週間
「航洋丸」によるFD「宏洋12000」曳航
AISを確認すると、FD「宏洋12000」を曳航しているのは日本サルヴェージの「航洋丸」のようです。1隻だけではなく複数のボートで曳航している可能性もありますが、AIS上で確認できたのは「航洋丸」のみ。
そして、「航洋丸」の仕向港を確認すると、3月11日12時に兵庫県 相生へ到着するという予定。 江田島にはなっていないようです。
ここからは推測ですが、もしかすると相生で機関室部分をFDから別の台船へ積み替えるのかもしれません。いつ解体開始できるか分からない「クリムゾンポラリス」の一部である機関室部分を長期間に渡りFDに積みっぱなしというのは、かなり非経済的と言える。そして、別の台船に積み替えることでFDが空になるので再び八戸港に戻せば居住区、船倉を積むことが出来る。
メリットは多いので積み替える可能性は高い確率であり得るのかもしれません。しかし、ひとつデメリットなのは曳航日数。距離が距離なので工程ロスが大きくなるという部分が難点。
救助船「航洋丸」(KOYO MARU)
船名 | 航洋丸 |
総トン数 | 2,096トン |
長さ | 86.08m |
幅 | 14.5m |
深さ | 6.70m |
建造年 | 1998年 |
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