SEP船「BLUE WIND」石狩湾新港へ向け室蘭港を出港
2023年7月4日16時頃、清水建設が建造した国内最大のSEP起重機船「BLUE WIND」が石狩湾新港へ向けて室蘭港を出港。AIS情報によると、速力およそ10ノットで順調に航行中で石狩湾新港への到着予定は、7月6日9時となっていますがもう少し早く到着しそうな感じ。
富山県入善町沖での初作業を終えて自船の母港である室蘭港に入港したのは6月10日。1カ月弱の室蘭港滞在中に着々と次作業の準備を進めていたようです。SNSなどにアップロードされているSEP船「BLUE WIND」の画像を見ると、大きく変わっているのは船尾側に積まれたブレードラック。そして、ブレードを1枚ずつ設置するための専用吊具も確認。
前作業の「⼊善洋上⾵⼒発電所」では設置基数が3基と少なく、自船甲板上へ積み込む風力タービン資材は1基分のみで毎回設置するたびに拠点港の石川県七尾港に帰港。そして、理由は分かりませんが3枚のブレードをハブにセットした状態で大組みし、設置作業をおこなっていたので多くのブレードを自船に積み込むためのブレードラックもブレードを1枚ずつ吊り上げて設置する専用吊具も不要でした。逆にこれらの設備が無い状態で設置するために選択された施工方法だったのかもしれません。
石狩湾新港では8MW風力タービン設置
「石狩湾新港洋上風力発電所」で設置する風力タービンは、Siemens Gamesa の出力8MW「SG 8.0-167 DD」を14基。「SG 8.0-167 DD」のブレード長さは81.4m、ローター直径は167m、受風面積21,900m2。
⼊善洋上⾵⼒発電所で設置した風力タービンは3MWだったので2倍以上の出力ということになります。
ブレード、タワー、ナセルなどすべての部材がより大きなものになりますが「BLUE WIND」建造時に公表されているスペックでは、4,600m2の甲板スペースに8MW級の風車資材を一度に7基分、12MW級だと3基分の全資材を搭載可能とのことでした。
8MW級を7基分というのが「石狩湾新港洋上風力発電所」を想定していたのかは分かりませんが、設置数が14基なので風力タービン資材の積み込みだけを考えると2回で全数の積み込みが可能になります。
秋サケ漁が始まる前の8月末までに風力タービン設置を完了
SEP起重機船「BLUE WIND」は石狩湾新港に到着後、準備が整い次第施工を開始するものと思われますが、一つ気になるのが工程。報道されている情報によると、地元漁協との取り決めにより風力タービン設置工事は秋サケ漁が始まる前までに終えることになっているという。そして、石狩市ではサケの漁期が9月から10月なので「BLUE WIND」は8月末までに任務を完了するという至上命令が課されている。
世界最大級・高効率の自航式SEP船を建造(抜粋)
8MW風車なら7基、12MWなら3基分の全部材を一度に搭載でき、予備日をみても8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付け可能
清水建設 | ニュースリリース(https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2019/2019007.html)
施工日数についても建造時の掲載記事で記載されていますが、予備日をみても8MW風車7基を10日で設置可能ということなので、14基だと20日。この通り施工が進めば工程には余裕が十分あります。大きなトラブルや機械の故障が無ければ工程は問題なさそうなので、懸念されるのは台風くらいでしょうか。
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