1,600トン吊りのSEP起重機船「Aeolus」が行っていたクレーンのアップグレードが完了。搭載されたHuisman製のクレーンは吊り上げ能力を維持したまま長さ133mに延長され、12MW~15MWの洋上風車設置が可能になりました。
Van OordのSEP船「Aeolus」クレーンアップグレード完了
Van OordのSEP起重機船「Aeolus」クレーンアップグレードは、2023年1月にロッテルダムのDamen Shipyardで新造された長さ133mのブーム設置が行われ、その後フリッシンゲンでの艤装期間を経て完了したようです。
クレーン能力はアップグレード前と同じ1,600トン吊りですが、長さ133mのブームにより揚程が増加したことで、12MW~15MWの洋上風車設置が可能。
出典:Van Oord
アップグレード前はクレーンをジブレストに倒した時、ブームの間にレグがくる位置でしたが、アップグレード後はレグとレグの間にブームを倒しているという違いがあります。ブームの形状も幅が広いタイプから一般的な形状に変更。
ブームのジブレストは位置が変更になったこともあり、Damen Shipyardで新規に設置が行われています。ジブレストで設置した鋼材を利用してヘリパッドも位置が変更されているようですが、倒しているジブとの離隔が少し近いような気が。アップグレード時の設計段階で考慮されていると思いますが、ブームを長くするだけでも様々な部分に影響が及ぶので想定外の事態が起きないようにチェックするのも大変な労力になりそう。
SEP起重機船「Aeolus」はフランスのSaint-Brieucへ
アップグレードが完了したSEP起重機船「Aeolus」は早速フランスのSaint-Brieucへ移動し、施工を再開しているようです。作業内容は、ジャケット基礎杭の設置。甲板上にたくさん積まれている資機材はSaint-Brieucでの基礎杭設置作業に必要なもの。
洋上風力発電所の建設が行われているサン・ブリュー湾は、潮流が速く、大西洋のうねり、高波の影響を強く受けるという地理的要因から海上作業は3月から10月の間のみ可能で冬場は施工不可だそうです。ちょうどその間を利用してアップグレードを実施した感じ。
Saint-Brieuc洋上風力でのSEP起重機船「Aeolus」によるジャケット基礎杭施工の流れ👇
SEP起重機船「Aeolus」によるジャケット基礎杭の設置は2021年から施工が開始され、これまでに62基分のジャケット基礎杭の内、40基分の施工が完了し、残りは22基分となっている。
ジャケット、風力タービン設置を行うクレーン船
ジャケット基礎杭設置後のジャケット設置は、5,000トン吊り自航式クレーン船「Seven Borealis」によって行われ、これまでに38基の設置が完了しているとのことなので残りは24基。ジャケットの高さは75m、重量1,150トン。
洋上変電所の設置は、14,000トン吊りクレーン船「Saipem7000」によって行われています。画像で吊り上げているトップサイド重量は、3,400トン。
気になる風力タービンの設置は、Fred. Olsen Windcarrierの800トン吊りSEP起重機船「Brave Tern」。800トン吊りから1,600トン吊りクレーンへアップグレードが発表されていますが、まだ未実施のはず。
Saint-Brieucで設置する風力タービンは、Siemens Gamesaの出力8MW「SG 8.0-167 DD」。2023年半ばから設置作業が開始される予定。
よく読まれている記事