五洋建設が設備投資に年間約300億円、大型クレーン船建造計画も
昨年の2023年5月、五洋建設が発表した中期経営計画(2023~25年度)の中で明らかにされていた年間約330億円の投資計画。そのうち大部分となる年間約300億円を洋上風力建設に用いる大型作業船建造の設備投資にあて、DEMEが保有するSEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレード・日本船籍化やケーブル敷設船、5,000トン吊りクラスの大型基礎設置船建造を計画している。
以上の情報はおよそ8カ月前に発表されていた情報なのでご存じの方も多いと思いますが、大型作業船の建造時期について日刊建設工業新聞に興味深い情報が掲載されていました。
2024年夏までに5,000トン吊りクレーン船建造契約を目指す
五洋建設/洋上風力1000億円投じ作業船拡充、20年代後半めど一貫した施工体制に(抜粋)
ケーブル敷設船(自航式)については、将来的に沖合で展開される浮体式への対応を見据え、当初計画よりもケーブルの積み込み容量や船体を大型化し、24年春までに建造契約を結ぶ見通し。大型基礎工事船(自航式、約5000トンつり)も同年夏までには契約にこぎ着けたい考えだ。SEP船の稼働効率を高めるため、基地港から作業海域まで風車部材などを運ぶ運搬船の建造も検討中。28年度ごろの完成を見据え、計画の具体化を進める。
https://www.decn.co.jp/?p=159883
作業船種別 | 建造契約時期 |
---|---|
ケーブル敷設船(自航式) | 2024年春 |
5,000トン吊りクレーン船(自航式) | 2024年夏 |
風車部材の運搬船 | 検討中 |
なんと、5,000トン吊りクラスのクレーンを搭載した自航式クレーン船建造について2024年夏までに建造契約を締結する考えだという。これは結構な重大ニュース。
というのも、経済産業省及び国土交通省が実施した2回目となる洋上風力公募、ラウンド2で計画されている風力タービンは15MWや18MW。風力タービン設置をおこなうSEP起重機船は、清水建設の2,500トン吊り「BLUE WIND」や1,600トン吊り「CP-16001」、そして2025年春を目標にアップグレード・日本船籍化して保有予定の1,600トン吊り「Sea Challenger」など施工出来そうなラインナップ。しかし、着床式の基礎としてモノパイルを採用するとなると重量2,000トン以上が予想される巨大なモノパイルを打設できる作業船はほぼいない。
なので、必然的にジャケット式の基礎が採用されるのかなと思っていましたが、洋上風力向けの5,000トン吊りクレーン船が完成すると、モノパイルの施工が可能となり設計時の選択幅が広がります。
洋上風力向け自航式大型クレーン船
五洋建設が建造する5,000トン吊りクラスのクレーンを搭載した自航式大型基礎設置船がどのようなデザインになるのか現状不明ですが、NOV傘下のGustoMSCやUlsteinなどによって船体設計が発表されています。
SEP船建造からの流れで考えるとGustoMSCによる5,000トン吊り自航式クレーン船「ENSIS 5000」を採用する可能性が高いのかも。
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