10.米メリーランド州でコンテナ船が橋脚に衝突、橋全体が崩落
2024年3月26日午前1時30分頃(現地時間)、全長約300mのコンテナ船「DALI」がアメリカのメリーランド州ボルティモアに架かるフランシス・スコット・キー橋(Francis Scott Key Bridge)の橋脚に衝突する事故が発生。
コンテナ船「DALI」の橋脚衝突により橋桁が次々と落下。船首に崩落した橋桁が被さった状態でコンテナ船は停船。コンテナ船側はパイロット2名を含む乗組員全員が無事でしたが、橋の落下に巻き込まれた作業員6人が死亡。
2024年3月27日(現地時間)、NTSB(National Transportation Safety Board:国家運輸安全委員会)は記者会見でコンテナ船「DALI」がコンテナターミナルを出航し、フランシス・スコット・キー橋の橋脚に衝突する約50分間で記録されたVDR(航海データ記録装置)データの内容を公開。
- 3月26日
00時39分ボルティモアのシーガート・マリン・ターミナルを出航 - 01時07分航路IN
- 01時24分針路141度、8ノットで航路を航行
- 01時24分
59秒複数の警報が鳴り響き、VDRは船の電子システムデータの記録を停止電子システムの記録は停止したが、バックアップ電源によりブリッジ内の音声録音は継続
- 01時26分
02秒VDRは船の電子システムデータの記録再開 - 01時26分
39秒パイロットがVHF無線でタグボートの救援を要請※この時、パイロット協会の司令員がフランシス・スコット・キー橋を運営するMDTA(メリーランド交通局)の当直職員に連絡。この連絡によりMDTAは橋の通行止めに関して早期警告を得ることができたため、結果多くの命を救うことが出来た。
- 01時27分
04秒パイロットがコンテナ船の左舷アンカー投錨を指示(衝突2分前) - 01時27分
25秒パイロットはVHF無線でコンテナ船「DALI」が電力喪失し、フランシス・スコット・キー橋に近づいていることを警告、橋の閉鎖を要請 - 01時29分7ノットで航行、衝突音が聞こえ始める
- 01時29分
33秒衝突音が収まる - 01時29分
39秒パイロットがVHF無線で橋の崩落を報告
- 2024年
3月26日コンテナ船「DALI」がフランシス・スコット・キー橋へ衝突 - 5月13日船首部分に載っていた橋桁を爆破により精密切断
- 5月20日船体再浮上、シーガート・マリーン・ターミナルへ移動
- 6月25日バージニア州ノーフォークへ移動
コンテナ船「DALI」積まれていたコンテナを荷卸し
- 9月19日中国へ向け出港
- 11月13日中国の福建省福州市羅源県にある福建華東船廠有限公司へ到着
9.六連沖で錨泊していた韓国船籍のケミカルタンカー転覆
2024年3月20日、山口県下関市の六連島から北北西約8kmの海上で韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」が転覆する事故が発生。
ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」は、3月18日14時頃に積荷としてアクリル酸980トンを積んだ状態で兵庫県姫路市網干の日本触媒 姫路製造所を出港。韓国へ向けて瀬戸内海、関門海峡を通過し日本海へ出た後、関門海峡通過から8時間後の19日21時頃に180度反転して関門方面へ航行を開始。そして、約6時間航行を続け、日付が変わった20日3時頃に六連沖の錨泊場所に到着。20日7時頃に救助要請の通報。
事故当時、「KEOYOUNG SUN」に乗船していた乗組員11人のうち、生存者は1人だけで10人死亡。
- 2024年
3月20日転覆事故発生 - 5月燃料抜き取り
- 5月22日船体引き起こしに向けて起重機船「武蔵」が現場へ到着
長州出島南へ5月18日に到着
- 5月23日船体引き起こし作業開始
起重機船「武蔵」による船体引き起こし
- 6月1日長州出島へ曳航、積荷のアクリル酸抜き取り
同じ韓国企業が所有するケミカルタンカー「KEOYOUNG STAR5」へ積荷移送
- 6月7日韓国へ向けて長州出島を出港し、曳航開始
韓国船籍のタグボート「DU T2」により曳航。目的地は韓国南西部の木浦市(Mokpo)
転覆したケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」の船体は、事故から約2ヶ月後の5月23日に深田サルベージ建設の起重機船「武蔵」により船体引き起こしがおこなわれ、船内の排水など船体を安定させたあと、6月7日に韓国の木浦市(Mokpo)へ向けて曳航されました。
- 六連沖で錨泊していた韓国船籍のケミカルタンカー転覆
- 下関沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカー、6月には撤去の予定
- 下関沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカー、来週引き起こしの予定
- 下関沖で転覆した韓国船籍ケミカルタンカーの引き起こし作業開始
- 下関市沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカーを長州出島に曳航
8.トルコでコンテナ船がガントリークレーンに衝突、倒壊
2024年3月16日15時45分(トルコ現地時間)、トルコのエヴィヤップ港(Evyap Port)で全長368mのコンテナ船「YM WITNESS」が港内の岸壁に設置されているガントリークレーンに衝突する事故が発生。
衝突によってガントリークレーン3基が倒壊し、そのうち1基がコンテナ船にもたれかかった状態に。トルコの運輸・インフラ省は、コンテナ船側に倒れていたクレーンの撤去について事故発生から半月後の4月1日に撤去完了を発表。
トルコの運輸・インフラ省およびエスビャウ港を管理する当局、コンテナ船「YM WITNESS」を運航していた台湾の陽明海運は事故による死傷者はいないと発表しています。
7.戸田建設など6社が共同保有予定のSEP船で訴訟、和解金約46億円
戸田建設など6社による共同出資会社Jack-up Wind Farm Construction株式会社(JWFC)が調達し、改造を予定してるSEP船「TERAS SUNRISE」で巻き起こった洋上風力発電プロジェクトを巡る契約紛争訴訟について中国メディアで報じられていたニュースを紹介した記事。
SEP船を調達する以前に起きていた事案に対する契約紛争訴訟なので、JWFCに直接関係無いことは記事を読んで頂ければ分かるんですけど、ネガティブ情報なので購読者のみの閲覧制限をかけています。
直接関係ないとは言え、2023年10月に発表されたSEP船「JWFC SUNRISE」の改造スケジュールは、2025年3月に改造が完了し、2025年9月から供用開始という予定でしたが、進捗状況については不明。
6.水深3,700m以上の海底に沈没した潜水艇タイタンの映像公開
2024年9月17日、U.S. Coast Guard Marine Board of Investigation(アメリカ沿岸警備隊 海洋調査委員会)は「タイタニック号」探索ツアーに向かい消息を絶った潜水艇「タイタン」(Titan)の動画を公開しました。
大西洋に沈没した「タイタニック号」を探検する有人潜水艇「タイタン」が消息を絶ったのは、2023年6月18日。事故当時、「タイタン」に乗船していた5人全員が死亡。動画では、水圧によって押しつぶされたと見られる潜水艇のうち船尾側のテールコーンと呼ばれる部分が確認できます。
よく読まれている記事