クリムゾンポラリス機関室搭載FDを曳航する「航洋丸」横須賀へ避難
東京湾海上交通センターが公開している曳航船等の入航予定情報によると、CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の機関室を積んだフローティングドック(FD)「宏洋12000」を曳航している「航洋丸」が曳航を中断し、横須賀に避難するようです。
2024年3月4日にFD「宏洋12000」を曳航して八戸港を出港した「航洋丸」でしたが、5日夜には仙台湾に避難し、7日昼過ぎに曳航を再開していたので今回で2度目の避難となる。天候に起因することなので避難は仕方のないことなんですが、機関室搭載時に甲板への亀裂が確認されていただけに波浪による船体動揺で影響が無いのか心配。
予報では3月12日(火)から日本列島南岸を発達しながら東に進んでいく低気圧、いわゆる南岸低気圧の影響で太平洋側は曳航出来るような状況では無いようです。
曳航を中断して湾内に入り、荒天をやり過ごすと言ってもFDのアンカーを打って沖に停泊させるだけでも結構大変な作業であることが想像出来る。
曳航長380m、曳航物件FC(64m)
多数の船舶が通航する航路・海域において、船舶交通の安全性及び効率性を向上させることを任務とし、海上保安庁が設置・運用する全国7カ所に設置されている海上交通センターは、Marine Traffic Information Serviceの頭文字を取ってMARTIS(マーチス)と呼ばれています。
今回、FD曳航中の「航洋丸」が浦賀水道航路を通航するという情報は、東京湾海上交通センター(東京マーチス)の曳航船等の入航予定情報-浦賀水道に掲載され、他船への周知がおこなわれている。これは、長さ160m以上の船舶(伊良子水道航路は130m以上)および今回の「航洋丸」のような曳航長200m以上の長大物件曳航船が海上交通安全法に基づく航路通報義務があることによるもの。該当する航路を通航する場合、前日の正午までに船名、航路名、航路入航予定日時等の通報事項を海上交通センター等の担当部署に通報(航路通報)しなければならない。
曳航長380m
曳航長とは曳船の先端から曳航船の後端までの距離を指し、今回の航路通報情報を図にすると👆のようになります。しかし、航路や狭水道通行時は原則として必要最低限の曳航長にする必要があり、それに対して230mという曳航長は少し長い気もするので、FDの後ろに補助曳船が帯同しているのかもしれません。
曳航物件FC(64m)
曳航物件の欄に記載されている曳航物件FC(64m)は、長さ64mのFloating Crane(浮きクレーン、起重機船)を曳航しているという意味。確かにフローティングドック(FD)「宏洋12000」には、6トン吊りのクレーンが2基搭載されていますが起重機船という表現には少し違和感を感じますね。
他の欄に記載されているDBはDeck Barge(甲板はしけ、台船)という意味。
救助船「航洋丸」(KOYO MARU)
船名 | 航洋丸 |
総トン数 | 2,096トン |
長さ | 86.08m |
幅 | 14.5m |
深さ | 6.70m |
建造年 | 1998年 |
フローティングドック(FD)「宏洋12000」
船名 | 宏洋12000 |
載貨重量トン | 約12,000トン |
長さ | 64m |
幅 | 45m |
深さ | 5.3m |
最大甲板深度 | 21.5m |
搭載クレーン | 6トン×2基 |
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