Cadeler1隻目のX-class SEP船の起工式

Cadeler1隻目のX-class SEP船の起工式 起重機船、クレーン船
スポンサーリンク

Cadeler1隻目のX-class SEP船の起工式

2023年7月5日、中国のCOSCO ShippingでCadelerが建造する4隻のSEP船のうち1隻目の起工式(Keel Laying Ceremony)がおこなわれました。

Cadelerが更新したLinkedIn(ビジネス特化型SNS)では、X-classのSEP船 起工式がおこなわれたことを発表するとともに、式典でCadelerのCEO Mikkel Gleerup氏がスピーチした内容に触れ、毎日何のために戦っているのかを思い出させてくれたと述べています。それは、7月3日に世界の平均気温が17.01℃を記録し、2016年8月に記録した16.92℃を上回り観測史上最も暑い日となったという内容。気候変動は加速度的に起こっており、その勢いを止めて今の状態を維持するには再生可能エネルギーに関して強力な決定を下すことが急務になっているという。

スポンサーリンク

X-class2隻、F-class2隻を建造予定

1隻目のX-class「First steel cutting」(2022年6月)
出典:Cadeler
CadelerのX-class2隻目となるSEP船の建造開始
2隻目のX-class「First steel cutting」(2023年2月)
出典:Cadeler

Cadelerが現在、建造を予定しているSEP起重機船は4隻で中国のCOSCO Shippingと建造契約については締結済み。そして今回起工したSEP船はX-classの1隻目。2隻目のX-classについては2023年に着工している。表にまとめると以下ような進捗状況。

船名プロジェクト名クレーン能力着工起工進水引き渡し
X-class①N10632,600トン2022年6月2023年7月2024年後半
X-class➁N10642,600トン2023年2月2025年前半
F-class①未定2,600トン2025年末
F-class➁未定3,000トン以上2026年後半
CadelerのX-calssとF-classの建造進捗および建造予定

以前の記事でも紹介していますが、搭載されるクレーン能力についてはクレーンの製造を担うHuismanに掲載されている記事を参照しています。Cadelerの掲載記事ではX-classのクレーン能力は2,000トン以上という表記。

 着工、起工について 

造船業に詳しい訳ではないので、全てネット上に掲載されている情報によるものですが、船を建造する時に節目となる項目には以下のようなものがあります。「First steel cutting」で鋼板の切り出しを始めると「Keel Laying」後にドック(船渠)内で大ブロックによる組み立てをおこなうための船殻ブロックを作り始めるので着工、建造開始となるようです。

造船の節目になる項目
  • First steel cutting 鉄鋼切断 ←この時点で着工、建造開始
  • Keel Laying 起工(キール敷設)
  • Launching 進水
  • Naming 命名
  • Delivery 引き渡し
スポンサーリンク

X-classの概要

クレーン能力2,600トン
(作業半径53m)
甲板スペース5,600m2
ペイロード17,600トン
積載可能な
風力タービン
15MW×7セット
or
20MW×5セット
宿泊設備130人
X-classのSEP起重機船について
出典:Cadeler

X-classと呼ばれるSEP起重機船に搭載されるクレーン能力はクレーンを製造するHuismanの掲載記事によると2,600トン。船体寸法は明らかにされていませんが、甲板スペースの面積は5,600m2で、17,600トンの積載が可能。

中でも驚くべき特徴はその輸送量。自船の甲板に積んで輸送できる風力タービンは、15MWタービンで7セット、20MW以上のタービンで5セット。数字を間違えている可能性すら疑うレベル。我らが日本を代表する清水建設のSEP起重機船「BLUE WIND」の甲板スペースは4,600m2でX-calssと比較すると1,000m2ほど小さいですが、それ以上に輸送量には大きなひらきがあります。どういうことなんでしょう。

船名甲板スペース風力タービン輸送量
X-calss5,600m215MWタービン × 7セット
or
20MWタービン × 5セット
BLUE WIND4,600m28MWタービン × 7セット
or
12MWタービン × 3セット
CadelerのX-calssと「BLUE WIND」風力タービン輸送量の比較
CadelerのX-calssに関する掲載記事

The vessels will be able to transport and install seven complete 15MW turbine sets per load or five sets of 20+ MW turbines, cutting down the number of trips needed for each project, thus accelerating installation speed and minimizing the carbon footprint.

(この船舶は、負荷ごとに7つの完全な15MWタービン セット、または5セットの20MW以上のタービンを輸送および設置できるため、各プロジェクトに必要な移動回数が削減され、設置速度が向上し、二酸化炭素排出量が最小限に抑えられます。)

https://www.cadeler.com/en/vessels/
スポンサーリンク

Cadelerに関連する記事

スコットランド沖Moray Westで全60基の風力タービン設置
2024年11月15日、スコットランド沖で建設が進められている「Moray West offshore wind farm」の事業者であるOcean Windsは、60基すべての風力タービン設置が完了したことを発表しました。
SEP船「Wind Peak」建造場所の中国からオランダへ到着
2024年11月15日、CadelerはSEP起重機船「Wind Peak」が建造場所の中国から回航し、オランダのロッテルダムに到着したことを発表しました。
CadelerのM-class2隻目「Wind Mover」起工
2024年11月、CadelerはM-class2隻目となるSEP起重機船「Wind Mover」(建造番号 No.3307)のキール敷設式をおこないドックでの建造を開始したと発表しました。
台湾の雲林洋上風力で80基の風力タービン設置完了
2024年10月17日、Skyborn Renewablesは台湾の雲林洋上風力発電所(Yunlin offshore wind farm)で80基すべての風力タービン設置が完了したことを発表しました。
CadelerのSEP船「Wind Peak」命名式開催
2024年8月15日、中国のCOSCO Shippingで建造しているCadeler向けSEP起重機船「Wind Peak」(建造番号:N1063)の命名式(Naming Ceremony)がおこなわれました。
CadelerのSEP起重機船「Wind Ace」建造開始
2024年7月18日、中国のCOSCO ShippingでCadeler向けとなるSEP起重機船「Wind Ace」(建造番号:N1131)の鉄鋼切断式(First Steel Cutting Ceremony)がおこなわれ、建造を開始。
CadelerのSEP船「Wind Pace」進水
2024年6月25日、中国のCOSCO Shippingで建造しているCadelerのSEP起重機船「Wind Pace」が進水。「Wind Pace」は、Cadelerが建造契約を締結しているSEP起重機船4隻のうち2隻目にあたる。
韓国で建造中のSEP船「Wind Maker」進水
2024年6月3日、韓国の Hanwha Ocean(旧 大宇造船海洋:DSME)で建造している Cadeler のSEP船「Wind Maker」の進水がおこなわれました。
CadelerがA-class3隻目のSEP船発注、約620億円
2024年5月22日、CadelerはCOSCO SHIPPING HEAVY INDUSTRYにA-classと呼ばれるシリーズ船3隻目のSEP起重機船「Wind Apex」を発注したことを明らかにしました。引き渡し予定は2027年上半期
ドイツの「Gode Wind 3」最初の11MW風力タービン設置
2024年5月8日、Ørstedはドイツ沖合の北海で建設を進める洋上風力発電所「Gode Wind 3」において1基目の11MW風力タービン設置が完了し、送電網への電力供給を開始したと発表。
雲林洋上風力で2024年の設置作業が始まり風力タービン2基を設置
2024年5月7日、Skyborn Renewablesは台湾の雲林洋上風力発電所(Yunlin offshore wind farm)で今シーズン最初の風力タービン2基の設置がおこなわれたと発表。
Moray Westで最初の14.7MW風力タービン設置完了
2024年4月22日、スコットランド沖で建設が進められている「Moray West offshore wind farm」の事業者であるOcean Windsは、最初の風力タービン設置が完了したと発表。
ØrstedがCadelerのSEP船1隻を4年間の長期傭船
2024年4月8日、ØrstedとCadelerは建造中のSEP船1隻について長期傭船契約を締結したと発表。傭船期間は、2027年第1四半期から2030年末までの4年間。
SEP船「Wind Osprey」アップグレード完了
およそ5ヶ月間に渡りオランダのスヒーダムで実施されていたSEP起重機船「Wind Osprey」のアップグレードが完了。
SEP船「Wind Orca」アップグレード完了、4月に稼働予定
CadelerはオランダのスヒーダムでおこなっていたSEP起重機船「Wind Orca」のアップグレード作業が完了したことをLinkedInへの投稿で発表しました。
SEP船「Wind Maker」搭載の2,600Tクレーン出荷
2024年3月6日、Huismanは中国で製造したCadeler向けとなる2,600トン吊りクレーンが完成し、設置するSEP起重機船「Wind Maker」を建造している韓国のHanwha Oceanへ出荷したことを明らかにしました。
韓国で2,600トン吊りSEP船「Wind Maker」起工
2024年3月6日、CadelerはLinkedInへの投稿で2,600トン吊りSEP起重機船「Wind Maker」の起工式(Keel Laying Ceremony:キール敷設式)がおこなわれたと発表。
Cadelerが「Baltica 2」の風力タービン設置契約締結
2024年2月20日、CadelerはØrstedとPGEがポーランドで開発を進める「Baltica 2 Offshore Wind Farm」での風力タービン設置に関する契約を締結したと発表。
SEP船「Wind Orca」1,600トン吊りクレーン搭載
オランダのスヒーダムでおこなわれているSEP船「Wind Orca」のクレーンアップグレードで、いよいよ新しい1,600トン吊りのクレーンを搭載する作業が開始されました。
CadelerがHuismanにSEP船のパイルグリッパー発注
2024年2月1日、Huismanはパイルグリッパーの設計および製造についてCadelerと契約を締結したと発表しました。Huismanにとって7基目の受注となるパイルグリッパーは、Huisman Chinaで製造する予定。
CadelerのSEP船「Wind Peak」進水
2024年1月3日、Cadelerは中国のCOSCO Shippingで建造しているSEP起重機船「Wind Peak」が進水したことを発表しました。2024年半ばに海上公試を予定。そして、完成・引き渡しは2024年第3四半期になる予定。
CadelerとEneti合併、2026年には保有SEP船10隻
2023年12月21日、Cadeler と Eneti が合併し、ニューヨーク証券取引所へ上場したことを発表。合併後の企業名はCadeler、コペンハーゲンに本社を置き、デンマーク、英国、米国、台湾、そして日本に事務所を構えているという。
Cadelerが建造しているSEP船4隻の船名公表
Cadelerは中国のCOSCO Shippingで建造しているSEP船4隻の船名をLinkedInへの投稿で明らかにしました。公表された4隻の船名は以下の通り。
撤去したSEP船のクレーンをクレーン船に再利用
2023年11月17日、オランダのHapo International Bargesは、CadelerからSEP船「Wind Orca」と「Wind Osprey」に搭載されていた1,200トン吊りクレーン2基を購入したと発表しました。
SEP船「Wind Osprey」に搭載の新造クレーンが韓国出発
GustoMSCは、LinkedInへの投稿でSEP起重機船「Wind Osprey」に搭載する新造クレーンが完成して製造場所の韓国を出発し、オランダへ向かっていることを明らかにしました。
SEP船「Wind Orca」既設1,200トンクレーン撤去
オランダのスヒーダムでおこなわれているSEP船「Wind Orca」クレーンアップグレードに伴う既設1,200トンクレーンを撤去する様子が公開されました。
中国で建造中のCadeler X-class1隻目、居住区設置
中国のCOSCO Shippingが建造しているCadelerのX-classと呼ばれるSEP起重機船の居住区設置作業がおこなわれました。先月の10月初旬に船体組立が完了したばかりでしたが、順調に建造が進められているようです。
「Wind Osprey」スヒーダム到着、2隻同時アップグレードへ
2023年10月31日、CadelerのSEP船「Wind Osprey」がアップグレード作業をおこなうオランダのスヒーダムへ到着。
SEP船「Wind Orca」のアップグレード作業開始
CadelerのSEP船「Wind Orca」クレーンアップグレード作業が開始され、既設クレーンの旋回体(重量:850トン)を撤去する様子がGustoMSCによって公開されました。
CadelerのX-class、起工から2か月半で船体組立
中国のCOSCO Shippingが建造しているCadelerのX-classと呼ばれるSEP起重機船の船体組立が完了したようです。ドックでの組立が始まったのは2023年7月。わずか2カ月半という急ピッチで主船体部分の組立を完了させています
Cadeler1隻目のF-class SEP船建造スタート
2023年9月8日、中国のCOSCO ShippingでCadelerが建造する4隻のSEP船のうちF-classとしては1隻目にあたるSEP船の建造がスタート。
SEP船「Wind Orca」のアップグレード部材が韓国を出港
アップグレードが予定されているCadelerのSEP起重機船「Wind Orca」のクレーン部材が重量物運搬船「Happy Sky」に搭載され、オランダへ向けて製造された蔚山を出港。AIS情報によると、蔚山を出港したのは2023年8月24日
Cadeler1隻目のX-class SEP船の起工式
2023年7月5日、中国のCOSCO ShippingでCadelerが建造する4隻のSEP船のうち1隻目の起工式(Keel Laying Ceremony)がおこなわれました。
CadelerのX-class2隻目となるSEP船の建造開始
中国のCOSCO ShippingでCadelerのX-classとして2隻目となるSEP起重機船のSteel Cutting Ceremonyが行われました。X-classにはHuisman製の2,600トン吊りクレーンが搭載される予定。
CadelerのSEP船2隻の改造をSemco Maritimeが契約
CadelerのO-class SEP起重機船2隻をアップグレードする改造に関してSemco Maritimeが契約を行ったことを発表。交換するクレーンを含む部材の製作は2023年初頭に開始され、2023年後半から設置作業が行われる予定。
CadelerのSEP船にFrese FUELSAVE技術を搭載
Cadelerが建造しているX-classのSEP起重機船2隻にFrese社のFUELSAVE技術を搭載。1隻目については今月納入予定で、2隻目の方は2023年の夏に設置される予定。
CadelerのF-classにHuismanのクレーンを搭載
HuismanはCadelerのF-classと呼ばれるSEP起重機船の建造を行うCOSCO ShippingとLeg Encircling Craneの設計と建造に関する契約を締結したと発表。クレーンの吊り上げ能力は3,000トン以上。
Cadelerが2隻目となるF-classのSEP起重機船を発注
Cadelerは2022年5月に発注した吊り上げ能力2,600トン以上のクレーンを搭載したSEP船に続いてF-classの2隻目を発注。同社はO-class 2隻を保有。これまでにX-Class 2隻、F-class 1隻を発注している。
Thialfで使用する大型パイルグリッパーをHuismanに発注
HeeremaはHuismanに大型パイルグリッパー発注。搭載する予定のクレーン船は14,200トン吊り「Thialf」。先日プロトタイプのナセルが完成したV236-15.0MW風車基礎のモノパイルを「Thialf」で設置する予定。
スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

Crane1000をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました