大分ホーバークラフト運航開始を来年秋に延期
2023年12月26日、大分空港と大分市内を結ぶ海上交通アクセスとして2023年度中の運航開始を目指していた大分ホーバークラフトですが、運航会社の「大分第一ホーバードライブ」は運航開始時期を来年秋に先送りすることを明らかにしました。
率直な感想としては運航開始時期が先送りされることについて、やっぱりそうなるよねという感想。ですが、1番船「Baien」の事故後もなんとか当初予定していた運航開始日程を死守するために奔走する関係者の尽力を思うと断腸の思いで決断されたということは容易に想像できます。
しかしながら2023年度内の運航開始が最終目標ではない。運航開始日程を先送りした理由について「Baien」での事故が影響しているという説明ですが、大分ホーバークラフトは大分空港と大分市内を結ぶ乗り物であるということを念頭に置き安全運航できる状態の運航開始を目指して欲しい。
3番船「Tanso」イギリスを出港
大分ホーバークラフト3番船「Tanso」は大分県が公表している建造情報でも2023年11月14日に建造工程終了が明らかにされていました。そして、建造をおこなうGriffon HoverworkのチーフパイロットであるBen Avery氏がLinkedInへの投稿で完成した3番船「Tanso」の積み込みが終わり、運搬船に搭載されてイギリスを出港したことを明らかにしています。
「Tanso」を吊り上げている運搬船のクレーンブームに”SWL200T”という表記を確認。さらに船体吊り上げに使用している天秤には ”SA” まで文字が確認できるので恐らく ”SAL” の保有船。さすがにこの2つの情報だけで船名を特定することは難しいかと思いましたが、意外とすぐに判明。
3番船「Tanso」を輸送中の重量物運搬船「WIEBKE」
SAL Heavy Liftが保有する重量物運搬船で200トン吊りのクレーンを搭載し、12月初旬前後でイギリスのサウサンプトンに入港している船舶で該当船を調査。結果、ホーバークラフト3番船「Tanso」を運んでいるのは恐らく重量物運搬船「WIEBKE」。
重量物運搬船「WIEBKE」のAIS情報をFleetMonのLive Trackingで確認すると、前港のイタリアにあるマリーナ・ディ・カラーラを出港してスエズ運河に向かっていましたが、手前でUターンして西へ向かい地中海を抜けて南下しているのが分かります。そして、マリーナ・ディ・カラーラへ寄港する以前のAIS情報を確認すると、イギリスのサウサンプトン出港は2023年12月8日18時頃(現地時間)。
大分県は輸送ルート変更により「Tanso」到着が2~3週間遅れることを発表
大分県は安全上の理由で輸送ルートが遠回りに変更されたため、3番船「Tanso」の到着が予定から2~3週間ほど遅れ、2月上旬になると発表。なので、運搬船の航行ルートはスエズ運河を通るルートからアフリカ大陸南端の喜望峰を通るルートへ変更されたと思われる。
船名 | イギリス 出港日 | 日本 到着日 | 運搬日数 (英→日) | 到着から納入 までの日数 | 納入日 | 当初の 納入予定日 | 遅延日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Baien | 7月15日 | 8月24日 | 40日 | 15日 | 9月8日 | 2023年7月20日 | 50日 |
Banri | 9月20日 | 11月8日 | 49日 | 9日 | 11月17日 | 2023年10月12日 | 36日 |
Tanso | 12月8日 | ― | ― | ― | ― | 2024年1月18日 | ― |
重量物運搬船「WIEBKE」
船名 | WIEBKE |
総トン数 | 8,397トン |
載貨重量トン | 9,370トン |
搭載クレーン | 320トン×2基 200トン×1基 |
長さ | 152m |
幅 | 20m |
建造年 | 2000年 |
出典:FleetMon | JaKu
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