「Vineyard Wind 1」でのジョーンズ法対策
Barge Master contributes to the Successful First Feeder Operation for Vineyard Wind 1 Project in Collaboration with FOSS Maritime, Seaqualize, GE and DEME Offshore US
(バージマスターは、FOSS Maritime、Seaqualize、GE、DEME Offshore USと協力して、Vineyard Wind 1プロジェクトの最初のフィーダー運用の成功に貢献)
https://www.barge-master.com/item/barge-master-contributes-to-the-successful-first-feeder-operation-for-vineyard-wind-1-project-in-col/
アメリカのマサチューセッツ沖で建設が進められている洋上風力発電所「Vineyard Wind 1」で風力タービン部材輸送時に使用した設備について、自社機材を納入しているBarge Masterのウェブサイトで施工方法が紹介されていました。
アメリカのジョーンズ法による洋上風力建設への影響
アメリカ国内の地点間における国内輸送(内航)をおこなう船舶を限定するジョーンズ法と呼ばれる法律。その要件には米国船籍、米国人配乗、米国人所有に加えて、他国には無い米国建造という要件が含まれており、洋上風力発電所建設時の大きな障壁となっている。
ジョーンズ法の影響を受ける風力タービン設置作業では、SEP船など他国建造の設置船甲板に部材を積み込みして拠点港から設置場所へ運ぶことが出来ないため、ジョーンズ法に準拠した船舶で運搬する方法以外にも様々な対策が考えられている。
Barge Masterの動作補償PとSeaqualizeのリフティングデバイス
「Vineyard Wind 1」でのジョーンズ法対策は、輸送台船に風力タービン部材を1セット分ずつ積み込んで設置場所のSEP船まで運搬するというものですが、沖合で運搬船から部材を吊り取る時の波浪による揺れを低減させる設備として使用されているのは、Barge Masterの動作補償プラットフォームとSeaqualizeの洋上リフティングデバイス。
Barge Master 2種類の動作補償プラットフォーム
Barge Masterの動作補償プラットフォームは、従来の「BM-T700」をベースにした「BM-Feeder standard」と「BM-Feeder heavy」を使用。
「Vineyard Wind 1」の輸送では、タワー部材の運搬架台としてタワーのトップには「BM-Feeder standard」、タワーのミドルとボトムを連結したものには「BM-Feeder heavy」が使われたようです。両者ともにロール・ピッチ方向の動きに対応し、スタンダードの方はヒーブ(heave)と呼ばれる波浪による上下の動きにも対応。ヘビーの方は上下の動きには対応していないようですが、名前の通り使用できる重量が大きく波高2.5mまでの条件で最大1,500トンの積荷の動作を補償するという。
Seaqualize の洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」
洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」はSeaqualizeが開発し、DEME Offshore USが使用契約をおこなっている。クレーンのフックに吊り下げて吊荷の揺れを低減する装置で最大吊り上げ重量は1,100トン。
Barge Masterの掲載記事では、垂直方向の動きを補償する「Heave Chief 1100」とBarge Masterの動作補償プラットフォームを組み合わせると安全な吊り上げ作業が可能で作業できる海象条件が拡大すると記載されていますが、使用している画像は無いので実際に使用したかどうかは不明。
動作補償プラットフォーム使用はタワー部材のみ
洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」については不明ですが、動作補償プラットフォーム「BM-Feeder」はタワー部材のみに使用。
沖合の洋上でSEP船のクレーンにより運搬台船上の資材を吊り取る場合、玉掛け作業と台船上から水切りする瞬間がリスクの高い作業と言えそう。なかでも高さのあるタワー部材は、リスクがより高い作業なのかもしれませんが、ブレードラックに積まれた3本のブレードとナセルの吊り取りもリスクは高い。
実際の施工状況を見てみないと、今後も同じ方法でやっていけるのかは分からないですね。
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