2024年を振り返る 注目度の高かったニュース記事

2024年を振り返る 注目度の高かったニュース記事 国内ニュース

5.中国でコンテナ船「YM Mobility」の爆発事故

中国でコンテナ船「YM Mobility」の爆発事故

2024年8月9日午後1時40分頃(現地時間)、中国の浙江省寧波市北侖区にあるターミナルに停泊中のコンテナ船「YM Mobility」で爆発が発生。乗組員や港湾関係者に負傷者は報告されていない。凄まじい爆発の威力で衝撃波が1kmの範囲で確認され、港近くにあるオフィスの窓ガラスの破損や天井部分の崩壊など、近くの構造物に損害を与えたという。

コンテナ船「YM Mobility」を運航する台湾の陽明海運(Yang Ming Marine Transport Corporation)は、事故発生当日に声明を発表。事故原因は調査中であるとした上で、予備調査の結果、危険物を積載したコンテナで爆発が発生したことが示唆されていると述べています。爆発したとされるコンテナは、電源を接続していないリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)をドライコンテナの代用として使用していたという。

4.「クリムゾンポラリス」の機関室を載せたFDが広島へ向け八戸出港

「クリムゾンポラリス」の機関室を載せたFDが広島へ向け八戸出港

2024年3月4日、青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の撤去した機関室を積んだフローティングドック(FD)「宏洋12000」が広島県に向けて八戸港を出港、曳航開始しました。

改めて「宏洋12000」に積まれた機関室を見ると大きな冷凍マグロのようにも見える。

「クリムゾンポラリス」座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れ
  • 2021年
    8月11日
    座礁事故 発生

    青森県八戸港沖で錨泊中に強風により流され座礁。事故当時、船に乗船していた乗組員21名(中国人、フィリピン人)は、全員無事。

  • 8月12日
    船体分断

    船体分断により油流出。流出した油の量は388KL(推定)。座礁時点で「クリムゾンポラリス」が保有していた油の量は、重油約1,550トンと軽油約130トン。

  • 8月27日
    船首部を八戸港内に移動

    自船浮力で浮いている船首部を八戸港内に引き込み、岸壁に係留した状態で船内に残る油の抜き取り作業開始

  • 9月13日
    船首部の曳航開始

    9月11日に船首部の油抜き取り作業が完了、13日に八戸港を出港して広島県江田島へ向け船首部の曳航開始

  • 9月25日
    船尾部の油抜き取り完了

    八戸港沖に残る船尾部の油抜き取り作業を9月14に開始。9月25日に完了

  • 10月8日
    船尾部の撤去作業も日本サルヴェージが引き続き継続

    事故発生後から現地で油抜き作業にあたっていた日本サルヴェージが撤去作業についても引き続き継続しておこなうことを船舶管理会社である美須賀海運株式会社が発表(source:https://misuga-kaiun.co.jp/news/wordpress/wp-content/uploads/2022/09/20211008.pdf)

  • 11月
    撤去準備作業中、潜水士がガス爆発に巻き込まれる事故発生

    船尾部の分割撤去に向けて、船体に解体用チェーンを通すための穴を開ける作業中に潜水士がガス爆発に巻き込まれて肩や胸を打撲する事故が発生

  • 2022年
    9月28日
    地元の漁業者などを対象にした非公開の説明会

    10月初旬に大型起重機船到着、そして10月中旬に機関室部分の吊り上げ撤去という工程説明があったという

    撤去作業完了予定:2023年1月

  • 10月初旬
    海面上から船尾部分が見えなくなる

    事故後、船尾部分は反転して船底が上になった状態で海面上に少し見えていましたが、海面上から姿が見えなくなる

  • 10月23日
    起重機船「海翔」八戸港 到着
  • 12月1日
    起重機船「海翔」八戸港 出港

    入港後、何度か引き揚げを試みるためチャレンジはしていましたが、海象状況が悪く作業中止に。

  • 12月9日
    「チェーンプラー」を使用した引き揚げ方法に変更

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、船尾部分の引き揚げ方法について大型起重機船ではなく「チェーンプラー」を使用した施工方法への変更を提案。11ヶ月の工程遅延が明らかに。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 2023年
    1月24日
    「チェーンプラー」使用の撤去工程を提示

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げ方法を「チェーンプラー」に変更した工程を提示。機関室部分を2023年10月下旬から11月上旬におこない、撤去完了予定は工法変更を提示した時と変更なく、2023年12月末。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 8月31日
    使用予定の大型台船が遅れるため工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げで使用予定の大型台船が現在従事している作業に遅れが生じているため、八戸沖撤去の工程が遅れるというもの。1ヶ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年1月末

  • 10月24日
    機関室部分の引き揚げ作業開始

    作業を開始した10月24日午後に油が流出し、オイルフェンスの外にも漏れたと撤去作業をおこなうサルベージ会社から海上保安部へ通報あり

  • 12月14日
    機関室部分に想定外の切れ込みが発生し工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、機関室部分を台船2隻で吊上げた際に想定外の切れ込みが発生したため、別の位置に吊り上げ用のチェーンを設置し直す必要があるため工程が遅れるという説明。2カ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年3月末

  • 12月31日
    八戸港の防波堤内側へ機関室部分を移設する作業が完了

    台船2隻による機関室部分の吊り上げ作業は12月30日午前9時頃に開始。そして、午後4時半頃から曳航開始したものの機関室が海底に接触して進めないトラブル発生。30日夜から31日午前4時半頃にかけて再び吊り上げを実施。その後、午前5時頃に曳航を再開して午前7時20分頃に中央防波堤の港内側へ到着。

  • 2024年
    1月31日
    フローティングドック「宏洋12000」八戸港 到着
  • 2月11日
    機関室部分の搭載作業中にフローティングドックの甲板破損
  • 2月24日
    機関室部分をフローティングドックへ搭載完了
  • 3月4日
    広島県江田島へ向けてフローティングドック八戸港 出港
  • 3月4日
    機関室部分搭載作業の遅れから工程遅延

    撤去作業完了予定:2024年5月中旬

  • 5月8日
    2024年5月中旬の撤去完了は困難な見込み

    遅延の見込みなどについては、5月16日の関係者説明会で発表予定

  • 5月16日
    撤去完了時期の延期

    撤去作業完了予定:2024年8月中旬

  • 7月29日
    船尾部分の引き揚げ断念

    海底で居住区の開口部を塞いだりする作業をおこない、早ければ8月末から9月上旬にも全ての作業を終えたい考え

関連記事

3.明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損

明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損

2024年12月13日、中国の明陽智能(MINGYANG SMART ENERGY)は海南省にある海南臨高大型洋上風力タービン試験・イノベーションセンターに設置している「MySE 18.X-20MW」 プロトタイプで発生したブレード破損について声明を発表。

明陽智能のLinkedin投稿によると、風力タービン試験プロセスのデータを解析した結果、試験中に風力タービンが極限の異常な状況に遭遇し、ブレードが設計荷重限界値を超えて損傷、破損したという暫定的な結論に達したと述べています。ブレードが破損した風力タービンは開発中のプロトタイプ(試作機)であり、新開発モデルが高水準と信頼性を保証するため極限条件下での試験は不可欠なプロセスとした上で、製品はまだ試験段階にあり、販売も量産もされていないと説明している。ブレード破損による試験場の人員にけが人はいないという。

明陽智能が世界最大となる20MWの洋上風力タービンを設置
海南省に設置された「MySE 18.X-20MW」プロトタイプ
出典:Mingyang Smart Energy

中国南部の海南省にある海南臨高大型洋上風力タービン試験・イノベーションセンターに最大出力20MWという世界最大の風力タービン「MySE 18.X-20MW」が設置されたのは2024年8月。その後、9月には電力網への接続を完了し、送電を開始していました。

「MySE 18.X-20MW」のローター直径は260m~292mと幅があり、18.X~20MWという柔軟な定格出力という特徴をもつ。明陽智能の掲載情報によると、平均風速8.5m/sという条件で96,000人の消費電力量に相当する年間8,000万kWh(80GWh)を発電し、66,000トンのCO2排出量削減につながるという。

関連記事

2.中国の大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」処女航海

中国の大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」処女航海

2024年1月7日、Adora Cruises(爱达邮轮)は保有する大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」(愛達・魔都号、ADORA MAGIC CITY)が7日間に及ぶ処女航海を無事に終えたことを発表しました。1月1日に中国の上海を出港し、韓国の済州島、そして日本の長崎、福岡へ寄港した初の商業航海には16の国と地域から3,000人を超える乗客が乗船したという。

大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」は、全長323.6m、幅37.2m、総トン数13万5,500トン、スイートルームを含む2,125室の客室を備え、最大で5,246人を収容可能。

 大型クルーズ船「愛達・魔都号」(ADORA MAGIC CITY)の概要

船名愛達・魔都号
(爱达·魔都号)
総トン数135,500トン
長さ323.6m
37.2m
喫水8.26m
エアドラフト72.2m
客室数2,125室
乗客数5,246人
大型クルーズ船「愛達・魔都号」
出典:爱达邮轮(上海)有限公司
関連記事

1.最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発

最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発

アメリカのRadiaは、陸上の風力タービンブレードを輸送する大型航空機の開発をおこなうという。開発する巨大航空機「WindRunner」は全長108m、翼幅80m、高さ24m、最大で長さ105mの風力タービンブレードを輸送することが出来る。

Radiaのウェブサイトでは、「WindRunner」の大きさを説明する比較対象に量産された機体としては世界最大のAn-124 ルスラーンを引き合いに出し、いかに「WindRunner」が巨大であるかをアピールしています。

名称WindRunner
長さ108m
翼幅80m
高さ24m
最大積載容量長さ:105m
高さ:7.3m
幅 :7.3m
 重量:72.5トン
必要滑走路長1,800m
巡航速度マッハ0.6
航続距離2,000km
出典:Radia

2024年に投稿した記事の中で最も閲覧数の多かった記事は「最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発」でした。この記事はGoogle Discoverに掲載されたため、爆発的にPV数が増加。他にも「明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損」、「八戸沖の座礁船、機関室部分をフローティングドックへ積載完了」の記事もGoogle Discoverに掲載されましたが、そこまで閲覧数は伸びませんでした。

RANK記事タイトル投稿日リンク先
最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発2024.04.04記事へ
2中国の大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」処女航海2024.01.10記事へ
3明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損2024.03.05記事へ
4「クリムゾンポラリス」の機関室を載せたFDが広島へ向け八戸出港2024.12.15記事へ
5中国でコンテナ船「YM Mobility」の爆発事故2024.08.10記事へ
6水深3,700m以上の海底に沈没した潜水艇タイタンの映像公開2024.09.22記事へ
7戸田建設など6社が共同保有予定のSEP船で訴訟、和解金約46億円2024.01.18記事へ
8トルコでコンテナ船がガントリークレーンに衝突、倒壊2024.03.18記事へ
9六連沖で錨泊していた韓国船籍のケミカルタンカー転覆2024.03.21記事へ
10米メリーランド州でコンテナ船が橋脚に衝突、橋全体が崩落2024.03.27記事へ
11五洋建設が設備投資に年間約300億円、大型クレーン船建造計画も2024.01.11記事へ
12インド沖で発生したコンテナ船火災、まだ鎮火していない状態2024.07.29記事へ
13八戸沖の座礁船、機関室部分をフローティングドックへ積載完了2024.02.25記事へ
14富山市岩瀬浜沖で中国人乗組員など13人が乗船の貨物船座礁2024.01.20記事へ
15姫路港で小豆島行きのフェリー「第五おりいぶ丸」が防波堤に衝突2024.06.02記事へ
スポンサーリンク

あとがき

最後まで読んで頂きありがとうございます🙇

2024年の1年間も「海に関するニュース」を分かりやすい記事で皆様に届けることを心掛けてブログ運営を継続することが出来ました。これもすべて見て頂いている皆様のおかげです。ありがとうございます。

2024年に投稿した記事数は637。年間の合計PV(Page View)数は約43万PV。投稿記事数は昨年の721に比べて減少してしまいましたが、合計PV数は年間で約16万PV増加(2023年の年間PV数は27万PV)。しかし、年始には4万を超えていた月間PVも直近半年間は3万PVに留まり停滞。PV数は伸びなくなってしまいましたが、ブログ開設当初に比べて、メール通知設定によるブログ購読者数の増加やSNSの反応から多くの方に見て頂けているという実感はすごく感じています。それがブログを継続出来ている何よりの原動力になっていることは間違いなく、ほんとに感謝しかありません。

投稿する記事では内容の ”正確性” を最も重視して記事を書いています。とはいえ、自分で直接取材している訳では無いので、船舶の動向に関しては無料で閲覧できるAISを確認したり、記事に関係する企業のプレスリリースを調べることで当事者に近い情報源から内容確認することを心掛けています。

そんな記事の正確性に自分の経歴はもちろん、記事に対する自分の意見も必要ないと思い、客観的事実だけを書く努力をしていますが、少しだけ自身の身の回りの変化について。2024年夏頃から船や海とは全く無縁の職場で働き始めたこともあり、記事を書くための絶対的な時間が取れなくなってしまったことが投稿数減少の要因。とはいえ、ストレス無く規則正しい毎日を過ごせており、心身ともに健康な状態であることを嬉しく思っています。健康は大事ですね。

2025年も1日1記事という投稿頻度になると思いますが、ブログを見て頂ける方がいる限り継続していくという強い気持ちを持っていますので、今後ともをよろしくお願いします。

スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

タイトルとURLをコピーしました