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クレーン船(起重機船)の仕組み、ヒミツを徹底解明

起重機船、クレーン船
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3.自分で○○することが出来ない

 日本のクレーン船(起重機船)は自分で移動することが出来ない。

 クレーン船(起重機船)は、船舶ではないので航行するための推進装置(プロペラ)を搭載していない。

曳航される韓国の起重機船「Woongjin」、元は日本の起重機船「翔隆」
作業船「海進」を曳航する「早潮丸」

 日本でも何隻かは自航式のクレーン船が存在しますが、全体の隻数から見るとほんとにわずか。ほぼ自船で航行できない非自航式。

日本では稀な自航式起重機船「AUGUST EXPLORER」(500トン吊り)

 自船で航行する事が出来ないので、ボートに引っ張ってもらわないと移動することが出来ない。港内での係留作業時、補助的に使用するサイドスラスターを搭載しているクレーン船は多いが、長距離を航行することは難しい。

 世界的にみると自航式のクレーン船(起重機船)は多いが、日本ではまだ少ない。現在、清水建設がJMU呉で建造中の2,500トン吊りSEP起重機船「BLUE WIND」は日本で珍しい自航式。

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4.作業中の操船はウインチを使っている

 クレーン船(起重機船)は、航行するための推進装置(プロペラ)が無いので長距離の移動はボートに頼らないといけないが、現場での作業中はウインチを使用して操船している。

岸壁の係船柱を使用して係留する起重機船

 ウインチの反力として、岸壁などでは係船柱(ビット、ボラード)、海上ではアンカーを投錨して使用する。

 アンカーの種類としては、大きく分けてストックアンカーとストックレスアンカーとがある。

アンカーの種類

【ストックアンカー】爪の部分が固定されている。

ストックアンカー

【ストックレスアンカー】爪の部分が40度前後の角度で正面又は裏面に自由に動くことができる。

ストックレスアンカー

【高把注力アンカー】クレーン船で使用されることはほぼ無いが、浮体式洋上風力発電設備など沖合で、長期間アンカーを使用して係留する設備に用いられる。把注力の高いアンカー。福島の洋上風力実証事業で使用されていました。

Vryhofの高把注力アンカー
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5.橋や架線の下を通る時のルール

 大型のクレーン船、起重機船が橋や架線など海上で高さ制限がある場所を通過する時、もちろんのことながら高さ制限よりも低い状態で通過しなければならない。

 大型のクレーン船でも旋回できるタイプは、橋や架線の通航にかかわらずジブレストした状態で航行するので、船体は最小限の高さになっている。

ジブレストした状態で桁下を通過する第一豊号(1,800トン吊り)

 旋回しないタイプ、ジブが固定された大型起重機船はジブレストすることが出来ないので、ジブを倒していくしか手段が無い。

 ジブ上端が橋や架線の高さ制限より低くなる状態までジブを倒していく。ジブの起伏にも動滑車が使用されていて、巻き上げる力は増幅されているが、ジブ起伏のスピードは遅い。

 起伏スピードは遅いが、そのせいで橋や架線に接触するということはほぼ無く、接触事故が起こる時は勘違いとか認識不足などのヒューマンエラーが原因。

 2022年5月7日に岡山県玉野市沖で1,400トン吊り起重機船「新建隆」が高さ65mの送電線に接触し、香川県直島町の全域が停電するという事故が起きている。人智を超えた大型起重機船も操作している人は私たちと変わらない人間だということを改めて感じさせられます。

  

 続いてはこちら。

 フックブロックが付いていない、巻き上げ用ワイヤーに付いているチェーン。これにどんな役割があるか知ってますか?

次へ:謎のチェーンの意味
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